深海の眠り姫 -no sleeping beauty-
首筋、鎖骨、背中。
腕に、脇腹、太腿。
指先から髪の一本一本に至るまで丁寧に舐め尽くされ、赤い痕を残されて。
甲高い声が出るのを抑えながら、私は組み敷かれていた。
「赤くなってる。…慣れない靴、履かせたからか?」
直人さんはいつの間にか私のつま先まで舌を這わせていて、慣れないハイヒールのせいで痣がついているのを見つける。
「―――っ、ゃ…!」
「傷になったら困るから消毒だ、消毒」
その部分を丹念に舐められて、くすぐったさから身体が勝手に跳ねる。
ぴちゃぴちゃ、と舌を動かす音が響いて、そのたびに身体の奥がきゅんと疼く。
(………や、何これ…)