深海の眠り姫 -no sleeping beauty-
「………あ、…」
資料室に逃げ込んできた彼の姿に、私はため息とともに視線を逸らした。
(なんでここに)
そう思っていると、彼はずかずかと私のところに向かってくる。
「よう!………って、具合悪いのか…?」
「…お陰様で」
嫌みを込めてそう返すと、彼は困ったように頭をかく。
………そうだ。こいつに会ったあの日から眠れていないんじゃないか。
「で、…何か用ですか?」
「いや、用っつーか。近くまできたから顔見に来たんだけど…顔色悪ぃなぁ」