深海の眠り姫 -no sleeping beauty-





“また来る”だなんて、もうこのときあまり体調がよくなかった私にはぼんやりとしか聞こえていなかったの。


聞こえていたとしても、そんな社交辞令じみた台詞、真に受けるようなことはしない。
…しないの。










―――週末というのはとかく定時には帰れない。


例に漏れず本日もそのようで、私は朦朧としてどうしようもない頭をどうすることもできずになんとか仕事をこなしていた。
ミスっちゃいけないと思うから何回も何回も、それこそいつも以上に数字の確認をするため全く仕事がはかどらないのだ。


(帰れない…)





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