深海の眠り姫 -no sleeping beauty-
―――カチ、カチ、カチ――…
真夜中にも関わらず煌々と明かりのつく部屋で、まどろみから現実に戻ってきた私は額に浮かぶ汗を手で拭った。
(またあの夢を見た)
手元にある日付も表示されるタイプの時計に目を向けると、あと数日で大型連休に入ることがわかる。
それと、今が明け方4時を回った頃であるという事も。
(―――あぁ、また…)
一年の中で一番嫌いな時期がやってくる。
そう思った瞬間、寒くもないのに身震いが止まらなくなった。
…大丈夫、大丈夫よ。
もうあのころのように、鎖なんかで繋がれてないんだから。