深海の眠り姫 -no sleeping beauty-
―――ゆら、ゆら。
私の身体はふんわりと、浮かんでいるようだった。
「………ぅ、あ…」
カタン、と聞こえた物音に反応して私は意識を取り戻した。
寝かせられていたらしく、起き上がってきょろきょらしてみたけどこの場所に全く見覚えがない。
「起きたのか?」
そう言いながらこちらにやってくるのは芦谷さんで、スーツでなく黒のVネックシャツとジーンズというラフな格好をしている。
(…なんで?)