深海の眠り姫 -no sleeping beauty-
(なんで、こんな…)
密着する身体から伝わってくる熱に目眩がした。
うまく働かない思考回路が憎らしくて、私は思わず唇をかみしめる。
…なんでこんなことに?
「私にかまわなくても、女に不自由はしてないんでしょう?」
思ったことを口にすると腕の力が一層きつくなる。
図星だったのだろうか、そう思って振り返ると彼はやっぱりぽかんとしている。
かと思うと、盛大に笑い出した。
「―――しっかし可愛くねぇ女だなァ!」