深海の眠り姫 -no sleeping beauty-





ご飯をおなかいっぱいに食べると、次はいよいよ眠気が襲ってくるわけで。




(………ぅ、ん…)


食後のお茶までもらってしまった私は今、迫り来る眠気と盛大に戦っている。


駄目だ駄目だ、寝ちゃ駄目だ。


目を閉じたら、またあの音が迫ってくる。そうして私を絡め取って、暗闇に引きずって行かれてしまう。




…嫌だ、もう、あんな暗闇は――…



「………い、おい環!…眠いなら寝ちまえばいいだろう」


その声に我に返ると、目の前には心配そうに私を見つめる芦谷さんがいる。
私は弱々しく首を横に振って返事をした。





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