深海の眠り姫 -no sleeping beauty-
5. 愛されなかったこども
親に愛されなかったこどもは、愛を知りません。
愛する気持ちも、愛される幸せも知りません。
だから、怖いのです。
そのあたたかさが怖いのです。
…決して、いらないわけではないのです。
―――ひときわ低く響いたその声に、私以外の人が反応する。
「な、直人様…!?どうしてここに」
「んなことお前らに答える義理ねぇよ。…それより随分盛り上がってたみたいだなぁ?俺の前でもう一度言ってみろ!」
芦谷さんは彼女らをそう一喝すると、真っ直ぐ私のそばに向かってくる。
そして、動かない私をひょいと抱き上げこの場をあとにしようとした。