深海の眠り姫 -no sleeping beauty-





そこまで広くもない資料室の中には無数の棚があって、ぎっしりと伝票やら請求書やらが収められている。
蛍光灯もすっかり古ぼけていて弱い光しか放っていなかった。


(万が一電球が切れたら、たまったもんじゃないわ)


夕方にさしかかっていたため窓から自然の光が差し込むこともない。
だからこそ扉を開けっ放しにしていたのに。




―――バタン!


(…え、)


予告なく閉められた扉の音。
まさかと思って振り返った瞬間、資料室の明かりも消えた。



「え?…な、」


よろめいて棚にぶつかると、鉄製だった棚はギシリときしんだ。





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