深海の眠り姫 -no sleeping beauty-
(変わった人)
そう思って私はゆっくり起きあがった。
早く帰りたい、…今日はもうくたくただよ。
「おい、急に動くな!」
「だ、だって」
「そうだ。さっき話つけたんだけどよ、今日付けでここの配属になったから。前々から秘書的な奴ほしかったし、経理部の環なら仕事っぷりも問題ないってあっさり決まったぞ」
けろりとそう言う芦谷さん。
…てか、なんであなたがそんなこと決められるんですか?
そんな気持ちを込めていぶかしげな視線を送ると、さらりとこう返された。
「俺、一応ここの取締役だぞ?」