深海の眠り姫 -no sleeping beauty-
6. 慣れない優しさ





「困ります!」






あれからすぐ、芦谷さんは私を無理矢理自分の車に乗せてどこかに向かっていった。
その車が向かった先はなんだか見覚えのある高級マンションで、芦谷さんは慣れた雰囲気で地下駐車場に車を止める。



「着いたぞ。これから環は俺んちに住めよ」






………で、冒頭の台詞に戻る。



「そこまでしてもらう理由もないし、とにかく無理です!困ります!」


「着替えなら全部用意してあるぞ!寝るときは俺と一緒だし、何の問題があるんだ!」


車の中でこんなことを言い合いながら、私は半分パニックを起こしていた。





< 56 / 159 >

この作品をシェア

pagetop