深海の眠り姫 -no sleeping beauty-
………ジャラ、ジャラ。
脳裏によぎる鎖の音。
暗闇でなにも見えないはずなのに。
あるわけがないのに、私の足首には鎖が巻かれているようなひやりとした感触がした。
(―――あ、)
誰も来ない暗闇で。
動きも限られて。
…そう思った瞬間、心音が一気に激しくなる。
だめだだめだと思っても止められず、ついには吐き気がこみ上げてきた。
(ま、た…)
目を閉じて肩で息を繰り返す私は今ここが会社の中であることも忘れて、過去の記憶におびえていた。