深海の眠り姫 -no sleeping beauty-
掌に触れただけの唇の感触に、私は一瞬で石化したみたいにその場から動けなくなった。
「こんな綺麗な子に会えるなら、ね?」
(なっ、な…え!?)
「―――おい、侑!」
相変わらずユウさんは私に王子様スマイルを向けてくる。
対する芦谷さんはそんなユウさんと私を見て明らかに苛ついたような声でユウさんをたしなめた。
「テメェ、侑!」
芦谷さんが声を荒げてユウさんに詰め寄ってもユウさんの態度は変わらず、余裕たっぷりといった笑みを浮かべている。
「だって別に付き合ってる訳じゃないんでしょう?だったら僕にだってこの子を口説く権利あるじゃない」