深海の眠り姫 -no sleeping beauty-
その一言に芦谷さんはぐっと言葉を詰まらせ、それを見たユウさんは優雅にコーヒーカップに口を付ける。
「…さて、もう時間かな」
ちらりと時間を確認したユウさんは立ち上がり、芦谷さんに何かを耳打ちする。
芦谷さんは何を言われたのか顔を真っ赤にして唇をかみしめるばかりで。
その姿に私が首を傾げていると、ユウさんはこちらに向かってくる。
「今度デートしようね、環ちゃん」
私にそう告げると、極上の王子様スマイルを残して部屋をあとにした。
…って、デート!?
ようやく言われた言葉の意味を理解した私は、ただ目をぱちくりさせてその場に立ち尽くすのだった。