深海の眠り姫 -no sleeping beauty-
そっか。
猫なら、死ぬとき姿を隠すって言うもんね。
ふらっと姿を消してもきっと問題なんかない。
終わりにしよう。
野良猫に、戻ろう。
―――――その後撮影は順調に進み、予定通りの時刻に終了した。
その後私はさっきの涙なんてなかったように精一杯ふるまって、芦谷さんとも当たり障りのない会話もした。
やればできるじゃない、と自分をほめる。
広報部長とも別れ、私と芦谷さんは二人きり。
昨日までなら何もいわず彼の後ろをついて行った。