深海の眠り姫 -no sleeping beauty-
ぽつりとそうこぼして、パソコンの前に突っ伏したときだった。
―――バタン!
「環…」
役員室のドアを勢いよく開けたのは大阪にいるはずの芦谷さんだった。
音にびっくりして顔を上げた私に近づくと、しゃがみ込んで目線を合わせる。
「…寝れてねぇんじゃねぇか」
そう心底心配そうなまなざしを向けられても、困る。
「あなたには関係ないでしょう」
だから、私はとっさに反発してしまった。