深海の眠り姫 -no sleeping beauty-
―――その後、睡眠不足+泣き疲れた私は芦谷さんに横抱きで抱き上げられて会社をあとにした。
帰る先は芦谷さんの部屋。
それ以外許さない、と繰り返す彼に私も頷いたのだ。
一週間ぶりの芦谷さんの部屋は芦谷さんの匂いがして落ち着いて、私の身体からは一層力が抜けていった。
「ったく、化粧なんかしなくてもかわいいのに余計なことしやがって」
「………いや、え…?」
「風呂入れるか?入れないなら顔だけ洗ってこい」
そうタオルを押しつけられ、私は浴室に向かう。
そうしてシャワーを浴びてくると、リビングには湯気を放ったどんぶりが並んでいた。