未恋 ~東京卒業物語~
その途端、フロントガラスの向こうの景色が全て原色に輝くネオンサインに縁取られた。

「汗かいちまったし、あそこでシャワーでも浴びて休憩していこうや」

「…!」


恋愛ドラマのヒロインのはずだった。

なのに気がつくと18禁DVDの女優に……。

そのことがあたしをパニックにさせた。


「涼平くん、あたし、そーいうつもりじゃ!」

「じゃ、どーいうつもりで今夜は来たんだ?」

「あたし、花火が見たかったんです! 本当に、ただ花火が見たかっただけなんです!」

「ガキみてェなこと言ってんじゃねェ!」

乱暴にハンドルをきる彼……いやアイツ。

「キャッ」

急ハンドルの遠心力があたしを襲った。

「お前がガキならそれもいいさ。俺がオトナにしてやるまでだっ」

言い終わるか終わらないうちに、ハンドルを握っていないほうの左手で、助手席のあたしの太ももをいやらしく撫でるアイツ。

「なんばすっとや!」

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