ようこそ!マル質番外編
その様子を窓の外から見ていた彼は、思わず吐き気を催した。


部屋に散らばっているそれは、間違いなく生前の彼・・・


いや、彼の魂を宿していた器のなれの果てだった。


ちかり、と彼の心の中で何かが瞬いた。


それは深淵の闇に生まれた深紅の炎。


憎しみの紅。


―許さない・・・ニンゲンは、許さない!!


彼の心の中に声が響く。


残虐なケダモノを許してはいけない、と彼に命じる。


彼の体をゆっくりと紅い炎が包み込む。


―ユルスナ・・・ユルシテハイケナイ・・・そうだ、仇を!!


男はひとしきり笑い終えると、ナイフをポケットにしまい立ち上がった。


カタカタと窓が揺れる音がして男は窓を振り返る。


しかし「風か、」と呟いただけですぐに部屋を出て行ってしまった。


彼の暗い視線には、男は全く気がつかないようだった。





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