ようこそ!マル質番外編
―案外簡単だったな。


男は口の端を不気味に吊り上げてほくそえんだ。


獲物は今腕の中。


あとはどうやって持ち帰るかだけだ。


幸い、周囲に人はいない。


少女の持ち物と様子からして、これから大嫌いな塾に行くところだったのだろう。


もしかしたら、サボりの常習犯かもしれない。


それならば尚の事好都合だった。


しばらく少女の姿が消えても、誰も怪しまないだろう。


男はもう一度笑みを浮かべて、大事な大事な獲物を担ぎ上げたのだった。
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