ようこそ!マル質番外編
声の主は別段怒る様子もなく、微笑んだようだった。


その微笑みはどこか嬉しそうで、あの男とは全く違う優しいものだった。


「あの娘もいつか大きくなって、猫を切り刻むような残虐な人間になるかもしれないぞ?」


しかし彼はの意志は変わらなかった。


「そうなる前に殺されちまう!


なんとかしてくれ!


あの子をオレと同じ目に合わせたくないんだ!!」


うっすらと涙ぐむ彼の目尻に指を添わせ、声の主は頷いた。


「ならばお前に仮そめの力を与えてやろう。


そんなにあの娘を助けたければ、自分でどうにかするんだな?」
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