ようこそ!マル質番外編
「なっ、どういうことだ?」


きょとんとした彼の背を、声の主はしゃがみ込んでそっと撫でてやった。


『彼女は夢見屋。今お前が見たのは彼女の作りだした幻影だ。』


しゃっ!!


彼はその手に爪を立てると声の主から飛び退った。


つぃ、と手の甲から紅い雫が一筋落ちる。


「悪趣味なもの見せやがって!このド変態が!!」


声の主はもう片方の手のひらで引っ掻かれた手の甲を軽く押さえると、くっくっと笑ったようだった。


ちりりん・・・


『夢衣、下がっていろ。


この私を変態呼ばわりとは・・・度胸は本物だな。』


しゃらりと衣擦れの音がして、声の主は彼に背を向けた。


『面白い。おい、白ネコ。


私の下で働く気はないか?』
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