ようこそ!マル質番外編
その後すぐ。


白梅は自分の体が手厚く葬られるのを不思議な気持ちで眺めていた。


今さらそんなことをされたって、白梅の心に刻み込まれた恐怖や憎しみが癒える訳ではない。


それでも、白梅はこれでよかったのだと感じた。


男が白黒の車に乗せられどこかへ連れて行かれたのは、小一時間程後のこと。


男は深く項垂れて、抵抗すること無く逮捕された。


女の子が男の家を覚えていたのだ。


『人間の表面的な部分からは見えないおぞましさや優しさ、そして底知れない悲しみを知ることもある。』


あの声が言っていたことがほんのちょっと、白梅は分かったような気がした。


ある一面を見ただけでは、その人間の「本当」は見えない。


ふああ、と一つ欠伸をして白梅は声の主がいる空間へと戻っていった。


何だか眠い。


きっと一度に色々経験したから、と白梅は思った。


そんなことを考えながらあの空間へ戻ると、どういう仕組みか分からないが火の玉は皆いなくなっていた。


だんだん重たくなる瞼に逆らえず白梅はゆっくりと目を閉じる。


でも、あの夢衣とかいうやつはおっかなそうだから、パートナーになるのは嫌だな。


うつ
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