ようこそ!マル質番外編
振り返ると、入口の引き戸に背中を預け長身の男が立っている。


腰まで届く漆黒の髪は癖がなく、白い着物とのコントラストが鮮やかだ。


ゆったりと着崩した胸元から覗く肌はやはり白。


月夜より頭一つ分高く肩幅もあるのに、どこかはかなげな風情を漂わせている。


「くっ・・・!!


黒椿(くろつばき)、どうして貴方がここに!?」


月夜が頬を流れる冷や汗を拭う間もなく、黒椿は一瞬で間合いを詰めた。


あっという間に胸倉を捕まれた月夜は軽々と壁に押し付けられてしまったのだった。


床から浮いた足をじたばたさせる月夜と視線を合わせ、にやりと笑うと、黒椿は超重低音ボイスで囁いた。
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