ようこそ!マル質番外編
「よう、月夜!


おそよーさん!」


賑わう花見客の中でも一際騒がしい集団から声がかかった。


左手を上げて手の平をひらひらさせたのは、とにかく声のうるさい男だ。


「雛田(ひなた)!」


途端に月夜の顔がほころぶ。


「と゛ーせ、椿のにーちゃんに絡まれとったんやろ!?


こっち来いて!


お前の席とっといたで〜」


雛田がパイナップルのように逆立った金髪を揺らし、大きな口でにかりと笑う。


「助かります!」


周りの騒音に負けないよう怒鳴り返すと、月夜はヒトビトの隙間を縫うように進んで行った。
< 43 / 70 >

この作品をシェア

pagetop