ようこそ!マル質番外編
「黒椿さまは黒蜜のご主人様にはなってくださいませんの・・・?」


一瞬きょとんとした黒椿は、すぐに困ったような顔をした。


「・・・俺は止めておけ。


もっとイイ奴探してやるからよ、」


「黒蜜を助けて下さった。


黒椿様は素敵ですわ!」


「お前にとっては、な。」


それきり二人は黙り込んで、暫くの間黒蜜は黒椿の腕にすりすりしたのだった。




その頃白梅はというと。


真っ暗道をとぼとぼ歩いていた。


花からも人混みからも大分離れ、すでに花見客の騒ぎ声も聞こえてこない。


そこは何もない、ただの野原にできたケモノ道だった。
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