夕日塔の約束
その気持ちは下校時間になっても消える事無く、オレの中で燻り続けていた。


「日希、考え事しながら歩いてるとスッ転ぶぞ」


今日は塾が無い直次との帰り道、思いっきりガキ扱いされる。


だけど言い返す気分じゃなかったオレは、ハァ…とため息をついた。


「葛藤してんだ。明後日、夕穂に関わっていいのかって」


朝登校して来た時は、1年前別れたオレ達が一緒にいるのを周りに見られたら夕穂が嫌がると思い、途中で離れた。


だがオレは………本当は学校まで夕穂と行きたかったんだ。


久し振りに繋いだ手の感触が、放課後の今も残ってる。
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