夕日塔の約束
焦りながらも手早くボールをカゴに入れ、やっとこさ最後の1つを入れ終わった。


「フゥ……全部入れたよね……?じゃあハードル――――…」


言いかけた私の言葉は………全て言えなかった。


再び立ち上がった瞬間、日希が……



「泣くなよ………っ」



腕を引っ張って、私を強く抱きしめていたから。


「!?ちょっと日希!!何!?離してよ!!」


ジタバタ暴れて抜け出そうとするも、力が強くて上手く身動き出来ない。


香水なのかシャンプーなのか洗剤なのかはよく分からないけれど、ほのかに甘い香りが私の鼻に届いた。
< 128 / 323 >

この作品をシェア

pagetop