夕日塔の約束
が、すぐに引き戻されて、コソコソ耳打ち。


「アンタまだ“あの時”の事引きずってるの?もう1年経ったんだし、いい加減忘れなよ!!」


顔を私から離した稚鶴の表情は、真剣そのもの。


私は苦笑いで、ちっちゃく“うん……”としか言えなかった。


さっきの短めの赤い髪の毛の男の子の顔が、脳裏に浮かぶ。


優しい笑顔を私に見せてくれてたアナタは――――…こんなにも遠い存在になっちゃったんだね。


出会う先々で、避けなければいけない位に………


「そうだよね…1年も経ったんだし、もう忘れないとね………」


声が震えた。
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