夕日塔の約束
オレは再び寝転がろうとしたが、途中でやめた。


寝るなんて気分じゃねぇ……どっか行こう。


気分転換でもしたら、ちょっとは心に余裕が出来るだろ。


「っと…サイフにケータイ、自転車の鍵………」


必要最低限の荷物をポケットに入れて、部屋を出る。


下に降りると、珍しくデッカイ病院で看護師として働いている母親が帰っていた。


「アレ?母さん帰ってたんだ」


「まあね。アンタこそどこ行くのよ?」


「ちょっとサイクリングに。必要なものあったら買って来るけど?」


自転車の鍵を指でクルクル回しながら母親に尋ねた。
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