夕日塔の約束
「稚鶴、早く更衣室行こう!体育遅刻しちゃうよ!!」


私がこう言うと、ジッと日希と宮迫君を見ていた稚鶴がハッとした。


「あ、ああそうだね。米林先生に怒られちゃう!」


体を扉の傍から離し、更衣室に足を向ける。


ちょっとサボりを見逃すのは抵抗があったけど、そのまま行こうとした時だった。


「―――野々谷にはこの事言うのか?日希」


「「へっ……」」


いきなり宮迫君の口から私の名前が出てきて、稚鶴とハモる。


また扉の隙間から日希と下河君を見てみると、日希が難しい顔をして俯いていた。


―――ドクン……
< 212 / 323 >

この作品をシェア

pagetop