夕日塔の約束
なぜかその姿に極度に緊張して、心臓が大きく跳ねる。


「夕穂の話してんのかな?宮迫と下河君」


稚鶴も、不思議そうに首を傾げていた。


「言わないよ……言えるワケ無いだろうが」


俯いてた日希が顔を上げながら答えた。


ちょっと待ってよ………私に言えない事?


あの2人、何の話してるの……?


一気に速まった鼓動は元に戻らずに、ドキドキバクバクのまま。


稚鶴が「夕穂、行こう」と私の腕を掴んでも、動けない。


「だよな、言えないよなぁ。“あの子”から手紙が来た、なんて……」


「あの…子………?」
< 213 / 323 >

この作品をシェア

pagetop