夕日塔の約束
「バカお前静かにしろよ!」


「アンタこそ黙ってなさいよ!!」


「2人共どっこいどっこいだから!夕穂!!」


こんな時でもケンカする稚鶴と宮迫君も、私の名前を呼ぶ日希も皆無視してひたすら走る。


「ハァ……ケホッ……」


授業の道具がたくさん詰め込まれた教材室に入り、そのまま崩れ落ちた。


陽の光が当たらない教材室は、電気をつけなきゃ殆ど何も見えない。


だけど今の私には、かえって好都合だった。


「フッ…フェッ……ヒック」


止まらない涙を、必死に手で拭く。


この状況…………まるであの時みたいだ。
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