夕日塔の約束
一旦廊下に立ち尽くして、両手をきつくきつく握りしめた。


どうしてオレは……いつも最後には夕穂を泣かせる事しか出来ない?


なんで…守りたいのに守れねぇんだよ!!


『日希……真実野々谷に言った方がいいんじゃね?』


『―――いいんだよ。事実がどうであれ、夕穂傷つけたのは変えられないから』


別れたばかりの頃、直次と交わされた会話が次々と蘇る。


アイツは全て知っていた………1年前の真相を。


唯一オレが何もかも話した人物で、口は悪いけど優しいヤツだから、ずっとオレを気にかけてくれてた。


無様なオレを。
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