夕日塔の約束
『私がお父さんに頼めば……取引白紙にさせる事だって出来るの。そしたら野々谷さんのお父さん、どうなるかなぁ?』


悪魔だと思った。


小学校は違うし、中学校も同じクラスだったのは2年の1年間だけ。


高校だってクラス違くって、正直岸尾の事はあまりよく知らない。


だけどこの時、コイツが男だったら思いっきり殴れるのに、と、強く思った。


『もしかして一家で路頭に迷っちゃったりして?どうする?下河君。今から6時までの約4時間、私とつき合ってくれたら……』


岸尾が言いかけてやめた言葉の続きは、簡単に予想が出来た。
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