夕日塔の約束
「稚鶴……ツライよ私…日希の事信じていいのか分からない………」


3日間泣きっぱなしの私の目は、白さを取り戻せず赤いまま。


稚鶴は私をグイッと引っ張り起こすと、優しく私を抱きしめた。


「大丈夫……夕穂、大丈夫だから。下河君の事信じよう」


親友の手が、私の頭から背中にかけてソッと撫でる。


稚鶴の優しさに、私の涙腺は更にゆるゆるになった。


「信じたい…私だって日希を信じたい。でもどうやったら信じられるんだろう」


日希は“全部忘れてくれ”と言ったけど、再アタックの間のあの温もりは本物だった気がする。
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