夕日塔の約束
ドクン……


心臓が大きく跳ね上がり、冷や汗が流れる。


「なっ………」


直次の真剣な両目から逃れられず、オレは固まった。


「ちょっと下河君、顔色悪いけど、具合悪いの?保健室行く?」


優しくて人気者の美術の先生が心配そうに問いかけるも、硬直モードのオレは無言。


「あーー先生すみません。下河君は大丈夫なので、どうぞ授業始めて下さい」


代わりに直次がニッコリ言うと、先生は“ええ…”と机の陰に隠れた。


丁度チャイムが鳴り、美術の授業が始まる。


だけどオレは、未だに脳の動きが半分停止していた。
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