夕日塔の約束
岸尾さんにされた事は、私も日希も許せない。


もしもあの時ああなっていなかったら今頃どうなってたのかと、何回も思う。


稚鶴や宮迫君まで巻き込んで、迷路に入り込む事は無かったのかもしれない。


だけどね……離れていたこの1年間は、決してムダでは無かったとも思う。


「なぁーー、何か食って帰ろっか?どこがいい?」


日希が笑顔で、こちらを振り向く。


その直後、繋いでいた手にほんの少しだけ力を入れた。


「あのね日希……だったら――――」


背伸びをして、日希の耳元でリクエストを伝えると、「へっ?」と驚かれた。
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