夕日塔の約束
体中から冷気を放ち、赤髪男子を睨んで図書室の扉に向かう。


「待っ………」


「ああもうウルサイ!何なの!?私は教室戻りたいの!!退いてよ!!」


慌てながら私を引き止める男の子にイライラして、思わず叫んだ。


同時に、1年前の記憶が頭を過る。


“あの時”も……私はコイツに大声で叫んだ。


―――――泣きながら。


「授業時間終わっちゃうから、これ以上話すのはムリだし…………アンタも早くA組戻りなさいよ」


図書室の時計は、授業が終わる5分前をさしていた。


早く戻らなければ、稚鶴に心配かけてしまう。
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