夕日塔の約束
「暫く……お前の傍にいさせてくれ………夕穂………」


ラストの名前の所は、消えてしまいそうな程に小さな声だった。


「―――勝手にすれば」


自分の口からそんなセリフが出て来た事に、内心驚く。


だが驚いたのは、私だけじゃなく、彼も一緒だった。


驚きで目を丸くした顔を上げられ、目を逸らす。


「そこまで言うなら――――…全力で動きなさいよ……日希」


あえて私は、コイツをまた名前で呼ぶ事を決めた。


1年前止まった私達の時間が再び、1秒1秒進み始めた瞬間だった。


「最後に決めるのは………私だから」
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