夕日塔の約束
自宅まで黙々と歩き、後5分程で着くという時――――……


「あっ………」


とある建築物が目に入り、歩みが止まった。


赤茶のレンガがモダンな雰囲気を醸し出す、立派な塔。


上の方には丸型の時計が埋め込まれてて、複雑な形の2本の針が、時を刻んでいた。


「現在の時刻午後4時40分………後、1時間20分か……」


頭で計算をし、塔を見上げる。


一緒に視界に入る空は、さっきよりちょっと雲が多くなっていた。


この建物の名前は、“夕日塔”。


両親が言うには、オレ等が生まれる前からあったらしい、時計台だ。
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