夕日塔の約束
「えっ……夕…穂……」


か細い声で呼び掛けられ振り向くと、今日“ヨリを戻したい”と告げたばかりの元カノが立っていた。


“元カノ”


自分で思って自分で勝手に傷ついて――――…ハハッ、オレ最低だわ。


「よっ……1人か………?」


「うん…稚鶴は塾だから、1人」


ぎこちない空気抜群だけど、夕穂は返事をしてくれた。


この1年もの間、避けられっぱなしだった溝は………埋められるんだろうか?


「いいや…弱気になるなオレ」


ちょっと俯きがちで、カスタードベージュの髪が顔にかかってる夕穂にバレない様に言った。
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