初恋図鑑【完】
…はぁ、絶対変に思われたよ
保健室へと続く道の途中で、私は大きなため息をついた。
でも、あれ以上一緒にいたくなかった…。
…泣いてしまうような気がしたから。
五十嵐くんにとっては、忘れられるような出来事でも、私からしたらとても重大なこと。
「…初恋だったんだよ」
誰もいない廊下でぽそりとつぶやくと、目に涙が浮かんだ。
――…
そして…私はとうとう入学式が終わるまで保健室で休んでしまった。
しばらくして、真理が迎えに来た。
息を切らせて、走ってきてくれた真理を見ると、自然と涙が浮かぶ。
「ちょ、心??どうしたの??」
慌てる真理に罪悪感を感じつつも涙を止めることができなかった。