初恋図鑑【完】
未だに赤い顔で口をパクパクさせる私。
『ぷっ、やっぱ、心っておもしろいよな…小学生の時からクラスの人気者で……明るくてかわいいって結構モテてたんだけど……知ってた??』
『ま、まさか…!私が!?ないない。どちらかというと、私、クラスの男子からは扱い酷かったし』
ケラケラと笑う私に五十嵐くんはボソッと一言呟いた。
『……鈍感…』
その一言は、あまりにも小さくて私には聞き取れない。
『え?何か言った?』
『ううん、別に…』
なぜか少し疲れた様子の五十嵐くんに疑問を感じながらも私は、話を続ける。
『…そう?てか、小学生の頃と言えば、五十嵐くんがモテモテだったじゃん?今もそうだけど!』
『…別にたくさんの人に好かれたって…本気に好きなやつに好かれなきゃ意味ないよ…』
ズキッ
胸に鋭い痛みを感じた。
…やっぱり好きな人いるんだ…
さっきの言葉を言う五十嵐くんの顔は、少し赤かった。
ということは、好きな人がいるのだろう。
…ダメ。私は友達…なんだから!
私は、そう自分自身に言い聞かせた。