初恋図鑑【完】
顔を伏せた私を心配そうに見つめる五十嵐くんに胸が高鳴った。
…そっか…私、まだ…五十嵐くんのこと好きなんだ…
だから…会いたくなかったんだね…自分の気持ちに気付きたくなくて…
『…どうかした?』
心配そうな五十嵐くんの声。
『ううん…なんでもないよ…ありがとう』
…顔をあげたら泣き出してしまいそうだった。
…だって、もう五十嵐くんには、好きな人がいるんだから…どこの誰かは解らないけど…私は、また告白さえせずにフラれたんだな…。
そう考えると、胸が切なくなる。
けど、好きな人がいる人にフラれるとわかっていてまで…告白する勇気はなかった。