初恋図鑑【完】
2*体育祭
―――
…五十嵐くんとファミレスで話した日から約1ヶ月が過ぎた。
あの日、さすがに五十嵐くんに悪いことをしたと反省した私は、次の日、学校で五十嵐くんに謝るつもりでいた。
けど……。
『あっ、五十嵐くん昨日は、ゴメンね…急に帰って…』
自分の席で真理と話していた私は、登校し、私の後ろの席にカバンを置いた五十嵐くんに声をかけた。
『………』
しかし、五十嵐くんからは何の返答もない。
私も真理も怪訝そうな顔でお互いを見た。
その時、
『あっ〜颯太ぁ〜!!おっはよ!!』
後ろのほうから、五十嵐くんの腕に抱きつく女の人がいた。
…確か…クラスでもかなり目立っているギャル…確か名前は、白石さん。
『ん?何??取り込み中〜?』
白石さんは、そう言うと、バサバサのまつ毛で私と五十嵐くんを交互に見る。
『…いや?別に?』
…え?
私は、ショックのあまり言葉を失った。
真理にいたっては、信じられないというような表情を浮かべている。
…私…もしかして…無視されてたってこと…?
そう思った瞬間、胸がギューッと苦しくなった。
『あっ!そうなんだぁ〜!!まぁ、安藤さんじゃ、颯太には似合わないしね〜』
ズキン
ニヤリと笑いながら言う白石さんの言葉が胸につきささる。
『……』
けど…私は、何も言えなかった。