初恋図鑑【完】
『ねっ!颯太!あっち行こうよ』
白石さんが五十嵐くんの腕をグイグイとひっばる。
それを見た瞬間、
ズキンズキン
胸が悲鳴をあげた。
…いや…行かないで…。
けれど、私のそんな願いも虚しかった。
『あぁ』
一言そう呟いた五十嵐くんは、席を立つと、白石さんのグループのほうへと足を進めた。
『こ、心…』
心配そうな真理の声が隣から聞こえた。
…やっぱり……五十嵐くんを好きでいても…苦しいだけだ。
それなら…いっそのこと…この思いに蓋をしてしまおう。
もう…小学生の時みたいに傷つくのは、ゴメンだ…。
私は、かたく心にそう誓った。