初恋図鑑【完】
ドキッ
久しぶりに声を聞いた気がする。
『あぁ〜、君なんだ?えっと…』
『…五十嵐颯太』
素っ気ない口調の五十嵐くん。
『五十嵐ね!オレは、真島翔平。よろしく』
それに対し、明るい口調の真島くん。
…なんか…雰囲気正反対だな…。
五十嵐くんは、目もクリクリとした二重で、髪もさわりたくなるくらいフワフワ。全体的にかわいい印象が強いが…性格は、どちらかといえばクールなタイプ。
一方、真島くんは、目は、キリッとした一重で髪は、サラサラの黒髪。全体的に爽やかな印象をうける。
(よく、サッカー部やバスケ部に間違われるらしい。ちなみに真島くんは、帰宅部だ。部活に入る気はないそうだ。)
しかし、性格は、明るくてサバサバしてるから友達も多いクラスの人気者的存在だ。
『よろしく』
ボソッと呟くように五十嵐くんが答えた。
『うん、あっ!早速だけど、今日の放課後話し合いあるらしいから。視聴覚室に五時に集合な!』
『…わかった。わざわざどーも。』
『よし、じゃあ、伝えたいことは、伝えたからオレ教室もどるわ。じゃあ、またな、安藤、渡辺!五十嵐もな〜』
そう言うと、ニコニコと手をふりながら真島くんは自分のクラスに帰ってしまった。
シーン…。
真島くんがいなくなった廊下には、私、真理、五十嵐くんの三人が残された。
…うっ、気まずい…
そんな微妙な空気を察知した真理が慌てて明るい声で、
『私たちも戻ろう』
と、言ってくれた。