初恋図鑑【完】
『だから…あれが心が憧れてたっていう…噂の真島くんなのかなって?』
『む、昔の話だよ』
私は慌ててそう答えた。
『…呼び捨て??』
真理は、驚いたように私を見つめている。
どうやら五十嵐くんが私の名前を呼んだことに反応したらしい。
『ふ〜ん…?いい人そうだね』
未だに表情を崩さない五十嵐くんは、口角を上げて私を見ていた。
『…うん、いい人だよ』
私がそう言って俯いた瞬間。
『………ちょっと…来て下さい』
真理が五十嵐くんの腕を引っ張っていた。