初恋図鑑【完】
真理が席に着いたのと同時にチャイムが鳴り響いた。
ガラッ
その瞬間、担任が入ってくる。
『よ〜し!皆、席着け!今から体育祭の種目決めんぞ。体育祭実行委員前に出ろ』
『はい』
いつの間に戻ってきていたのだろう。後ろの席の五十嵐くんが立ち上がって教卓へと足を進めているのが目に入った。
…真理と話してて全然わかんなかった…。
『…じゃあ、種目決めたいと思いま〜す』
いかにもダルそうな五十嵐くんの声が教室内に響く。
すると、突然…
『五十嵐!やる気だせよ!!体育祭といえば優勝しかないんだからな!!みんなガチでいけよ!!優勝したらオレが焼肉奢ってやる!』
うちのクラスの担任、田中剛(たけし)30歳。独身がとんでもないことを言い出した。
どうやら…意外にも熱血教師だったらしい田中先生。1人でめらめらと闘志を燃やしている。
…しかし、甘いよ先生。今どき、焼肉ごときで皆がついていくわけないよ。
私は、そう思って1人燃えていた田中先生を眺めた。
しかし、クラスの反応はというと…
『焼肉!?マジ?』
『やった〜!』
…みんな…単純すぎるよ
普通に盛り上がりを見せるクラスメートたちに私はため息をついた。